28歳独身男性会社員の神待ち日記

「神待ち」なんて本当にあるとは思わなかった。

けれど、街に遊びに来た少女が後先考えずに散財し、
どこにも泊まれず、帰ることもできず、仕方なく男の
家に泊まってしまうことがあるのは知っていた。

まさか、自分の家に泊めることになるとは思わなかったけど。

夏休みも終わりに近づいた夏の日、合コンに参加した
俺は何の結果も出せなかった。

モヤモヤとした気持ちで、誰か遊べる女の子いねーかなーと
ワクワクメールを覗いたところ…

「今晩泊めてくれる人いませんか?」

「終電なくなって今日帰れません」

「遊びすぎてお金なくなっちゃった…(;_;)」

なんだか普通の出会い系とは違うメッセージが並んでいる。

なんだこりゃ?これが神待ちってやつか!?

一つのメッセージをクリックすると、近くのネットカフェにいる娘が。
お金がなくてネカフェ代も払えないらしい。

とりあえずコメントしてみると、即効で返事が帰ってきた。
ネカフェ代の支払いと、今日の宿泊場所を求めてるそうだ。

普段なら無視するような内容だが、合コンで失敗した腹いせか
それとも興味本位か、彼女に会ってみたくなった。

ネカフェに到着。
フロントで彼女は待っていた。

事前に打ち合わせた通り、知り合いのふりをして会計を済ます。

「バカだねー、財布忘れてネカフェ入るなんて!」
「ゴメーン!でも来てくれてありがとー」

なんてわざとらしい会話を交わしながら、店を出た。

あらためて見る彼女は、ごくごく普通の女の子。

今風の格好はしているが、見ず知らずの男の家に突然
行けるような娘には見えない。

「ありがとね、助かった。
じゃ、お兄さんの家に連れてって。」

「あー、でも突然だったから、汚いし、狭いよ?」

タダで泊まれさえすれば、全然構わないらしい。
ぽつぽつと会話をしながら、自宅へ向かう。

彼女は17歳(!)で、地方からやってきて友人と遊んでいる内に
金がなくなったらしい。
友人も同じように、神待ちで誰かのところへ泊めてもらうそうだ。

結局、家に着いた俺達はそのまま眠りについた。
俺は自分のベッドで、彼女は床の上にクッションや座布団を敷いて。

さすがに、未成年とわかっている娘に手は出せなかった。
彼女は別に構わないような風だったが…。

今にして思うと、ちょっともったいなかったような、自分の理性を
褒めてやりたいような、複雑な気分だけど。